糖とは?

糖は、その分子中に水酸基を2つ以上持つアルコールの最初の酸化生成物で、 アルデヒド基を持つアルドースとケトン基を持つケトースに分類される有機化合物です。


※その分子中に水酸基を二つ以上持つアルコールを「多価アルコール」と呼びます。


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糖質とは?

糖質は、1つの糖で出来ている「単糖類」か、その単糖類が複数個結合してできた有機化合物です。
その場合単糖分子が、2つ以上数十個程度(だいたい2〜20個ほど)が結合しているものを「少糖類」と呼び、 単糖分子が、それ以上多く結合すると「多糖類」と呼びます。


※単糖分子が2つ結合しているものを「二糖」3つ結合しているものを「三糖」ともいいます。




糖の種類


単糖類

単糖(monosaccharide)は、それ以上「加水分解」されない糖類であり、 加水分解とは糖やタンパク質、脂質等の対象物に水を加えてより小さい単位に 分解する事です。


つまり単糖は、水ではこれよりも小さく分解できないというものなのです。


※水に溶けるのと、分解するのは違いますョ。


単糖類は、それを構成している分子中の炭素の数によって分類する方法があります。


炭素の数が、 3つであれば三炭糖(トリオース)
4つであれば四炭糖(テトラオース)
5つであれば五炭糖(ペントース)
6つであれば六炭糖(ヘキソース)
7つであれば七炭糖(ヘプトース)
となります。


天然では現在のところこの七単糖までの存在が確認されていますが、 ブドウ糖や果糖などのヒトに関係の深いものは主に六単糖に多くみられます。


そして単糖類にはその分子中に、アルデヒド基(−CHO)を持つアルドースと、ケトン基(>C=O)を持つケトースがあります。
このアルドースとケトースは、分子式は同じなのに構造式が違うため、異なった性質をそれぞれが持っている「異性体」と呼ばれています。


三炭糖(トリオース)
アルドース Aldose (アルデヒド基−CHO)  グリセルアルデヒド
ケトース Ketose (ケトン基>C=O)  ジヒドロキシアセトン


四炭糖(テトラオースorテトロース)
アルドース (アルデヒド基−CHO)  エリトロース トレオース
ケトース (ケトン基>C=O)  エリトルロース


五炭糖(ペントース)
アルドース (アルデヒド基−CHO)  リボース リキソース アピオース(分枝糖) キシロース アラビノース
ケトース (ケトン基>C=O)  リブロース キシルロース


六炭糖(ヘキソース)
アルドース (アルデヒド基−CHO)  アロース グルコース(ブドウ糖) タロース グロース アルトロース マンノース ガラクトース イドース
ケトース (ケトン基>C=O)  フルクトース(果糖) プシコース ソルボース  タガトース


七炭糖(ヘプトース)
アルドース (アルデヒド基−CHO)
ケトース (ケトン基>C=O)  セドヘプツロース コリオース


例えば一番構造が簡単な三炭糖のアルドースの「グリセルアルデヒド」と 異性体のケトースである「ジヒドロキシアセトン」を比較すると、

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「C3H6O3」と分子式は同じなのに構造は異なるものなのです。
当然性質も違ってきます。


※グリセルアルデヒドもジヒドロキシアセトンも、三炭糖なので炭素原子が3個背骨の様にあるのが分かると思います。


また、ヒトに関係が深い六単糖のグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)でも、 分子式は同じ「C6H12O6」なのにアルデヒド基とケトン基を各々持つために、やはり構造式は異なったものになっています。

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※こちらのグルコースとフルクトースは六炭糖なので炭素が6個同じく背骨の様にあります。


つまり同じ部品を使っても、別のものが出来てしまった。
という事なのです。


※ちなみに「H」が水素「O」が酸素「C」が炭素原子です。




少糖類(オリゴ糖)

少糖類(オリゴ糖)とは、少数の単糖が結合して出来ている物で、2個の単糖で出来ているものを 「二糖類」単糖3個で出来ている物を「三糖類」というように呼んでいき、多い場合には20個程が結合しているものもあります。


特に二糖類のなかには、食品として重要な
ショ糖(砂糖・スクロース)=グルコース+フルクトース
麦芽糖(マルトース)=グルコース×2
乳糖(ラクトース)=ガラクトース+グルコース
などがあります。


通常オリゴ糖と呼ばれているものも、天然のものはそのほとんどが二糖類か三糖類のものが多くみられるようです。



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オリゴ糖

多糖類

多糖類とは、たくさんの単糖(類)からなる主に炭水化物のことです。
デンプン、グリコーゲン、セルロースなどは多糖類に分類され、そのほとんどは生き物が作り出す生合成産物になります。


例えば、 セルロースやペクチンは植物の細胞壁の成分として
アガロースやカラギーナンは海藻など藻類の細胞成分
エビ・カニなどの節足動物の外骨格にあるキチン
そしてデンプンやグリコーゲンはエネルギー(貯蔵物質)として、 合成・存在しています。


ただ、私たちヒトをはじめとした動物はデンプンなどを消化・吸収してエネルギー源に変換していますが、 多糖の中には消化しきれないものも多く存在しています。
それらは食物繊維と呼ばれ、例えばセルロースは植物のアガロースは海藻の食物繊維ですから 便秘気味の方は特に多く摂ることをお勧めします。