パイエル板


パイエル板とは

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パイエル板(Peyer’s patch)



小腸の内壁は、食物の栄養を効率よく吸収するのに都合かせいいように表面積を格段に広げるため、 絨毛と呼ばれる小突起がびっしりと密生しています。


ただ、所々個の絨毛が発達していないで平坦に見える部分があり、周囲の絨毛が密生している部分に比べ 板の様に平らなので「パイエル板」と「板」という名称がついていますが、決して板が腸の内壁に張り付いているのではなく、 そう見える部分という事です。


このパイエル板は、顕微鏡写真などで見ると絨毛の十数本〜数十本分くらいのスペース(絨毛自体がものすごく小さいのです)が、 小さな円盤状に隙間があるように見えます。
言ってみれば、航空写真でジャングルに時折空き地があるようなものでしょうか。


でも、これが哺乳類の免疫の重要な「舞台」と言える場所なのです。


パイエル板は小腸(一部大腸まであります)の内壁、とくに空腸から回腸にかけて20〜40個ほど絨毛ジャングルの中に点在していて、 その表面には周囲の絨毛部分と同じく腸管上皮細胞に覆われています。
つまり、周囲の絨毛部分とは基本的な作りは同じで形だけが少し違う場所という事で理解していただいて良いかと思います。


ただこのパイエル板という場所は、その表面に一部「M細胞」 という細菌やウイルス等の異物が入り込み易い「体内に開いた孔」の様な部分があり、 この「孔」に入り込んだ細菌やウイルス等をそのM細胞のすぐ真下で待ち構えている 「樹状細胞」という貪食細胞が捕食してしまう場所なのです。


樹状細胞M細胞から侵入してきた細菌や ウイルス等の異物を捕食した後、それら異物を殺菌分解して、それら異物の名札の様な「抗原」を MHCクラスU分子(MHC-U)という抗原用の掲示板のような物に載せて自分の表面に提示します。
これを「抗原提示」と呼びます。


樹状細胞は、マクロファージ好中球など他の貪食細胞に比べてこの 「抗原提示」能力が高くこれにより、獲得免疫系の「T細胞」や 「B細胞」が活動を開始して、異物の抗原に対しての抗体の産生や キラーT細胞、貪食細胞の活性化に繋がっていくのです。
この一連の作業がパイエル板下にある「リンパ小節」で行われています。


リンパ小節とは脊椎動物にみられる免疫細胞であるリンパ球が集まる場所でリンパ管の途中に存在する部分で、 細菌などの異物が体内に入ってきたことを察知する場所でもあり、侵入した異物と最初に戦う場所でもあるのです。


腸管内に点在するパイエル板には、このリンパ小節が1枚当たり20個ほどあるといわれ、 また人体の免疫細胞の60%以上が集中していて、 そこで産生されている抗体(免疫グロブリン)は同じく体全体の70%ともいわれています。


このように腸管というのは(絨毛とそれに輪をかけた微絨毛に覆われ)表面積が格段に広く栄養吸収が効率的に行われる場所で有るが故に、 外部からの異物(細菌やウイルス)や、元々そこに住み着いている100兆個ともいわれる常在の 腸内細菌に曝されているために、 人体で最も多くの免疫システムが集中した場所であり、 パイエル板はその腸管免疫組織の中心地と言えるでしょう。


T細胞B細胞が活躍する獲得免疫系は、 例えばインフルエンザウイルスや病原性大腸菌O-157の様な強力な異物が、 体内に大挙して押し寄せた時に活動を始めると思われている方も多いかもしれませんが、 上記の様に、バイエル板を使い口から消化管を経て入ってきた細菌などの異物を取り込み利用することで、 免疫としての力をいつでも100%に近い状態で作動できるように、常に訓練を繰り返しているのです。


私たちは自然免疫系よりも強力といわれる獲得免疫系の力を、いつでもきちんと発揮できるように、 バイエル板から適度に細菌などが取り込めるように、多少清潔ではない食生活も必要だと思います。


人の生活環境から、細菌をすべて除去することは不可能です。
かと言って、人は細菌とくに、病原性のある細菌やウイルスにはとても脆弱な存在です。
自分の周りから細菌を取り除くことよりも、細菌に負けない体をつくることを考えましょう。 それが病気を防ぎ健康を維持するために、私たちが出来ることの第一歩だと考えます。



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