悪玉菌


悪玉菌とは?

悪玉菌とは、常在菌というヒトの皮膚表面や体内などに住み着いている常在菌という細菌を、 名前から特徴を分かりやすくして、
主にヒトの体に良い影響をもたらすものを「善玉菌」
悪い影響をもたらすものを「悪玉菌」
その時々の体調など環境によって善悪どちらにでもなる「日和見菌」
と、名前を付けてみたうちの一つです。


悪玉菌と言うと、外見も見るからにおどろおどろしいものを想像するかもしれませんが、 外見だけでなく中身も、善玉菌をはじめ他の細菌と変わりはありません。


ただ単に、ヒトの体内などで長期にわたり、体によくない物質を作り出して、
結局それが病気などの原因になってしまうということが問題なのです。


代表的なものとしては、「大腸菌(毒性をもつもの)」「ウェルシュ菌」「ブドウ球菌」などの名が良くあげられます。


これらの菌は主に酸素のある環境で良く増殖する「好気性」や酸素があっても無くても増殖できる「通性嫌気性」で、
主にたんぱく質をエネルギー源にすることが多く、


そのたんぱく質を分解して硫化水素、アンモニア、インドールなどの有害物質を作り、
それらがヒトの免疫系を阻害してインフルエンザなどを引き起こしたり、
発がん性物質となってがんの遠因になったりするといわれています。


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大腸菌
病原性大腸菌
ウェルシュ菌
ブドウ球菌

ウェルシュ菌

「ウェルシュ菌」(Clostridium perfringens)クロストロジウム属ベルフリンゲンス
グラム陽性
稈菌
偏性嫌気性


自然環境中に多く、ヒトをはじめとする動物の腸内にも生息しています。
10種類以上の毒素を産生するが、作る毒素の違いで5つに分類されています。
外部環境が自らにとって悪くなると「芽胞」を形成し生き延びることが出来ます。
俗に言う「給食病」の原因菌といわれています。



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ウェルシュ菌

ブドウ球菌

「ブドウ球菌」(Staphyloccus)スタフィロコッカス属
グラム陽性
球菌
通性嫌気性


現在ヒトからは15種類ほどが分離されているが、ヒトに対して病原性をもつものは主に「黄色ブドウ球菌」 「表皮ブドウ球菌」「腐性ブドウ球菌」言われます。
中でも黄色ブドウ球菌は化膿性疾患の原因菌であり、また食中毒を起こす菌としても知られています。



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ブドウ球菌

大腸菌

「大腸菌」(Escherichia coli)エスケリキア属コリー
グラム陰性菌
稈菌
通性嫌気性菌
哺乳類、鳥類の消化管内に生息


菌表面の「抗原」の違いによって分類され、多くの種類が確認されています。
O抗原(細胞壁による) 170〜180種類ほど
H抗原(鞭毛による) 60〜70種類ほど
上記の「O」と「H」の抗原の組み合わせで分類されています。



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大腸菌
病原性大腸菌

腐敗と食中毒


発酵と腐敗

生物由来の有機物(例として食物)が細菌などの微生物によって分解され、ヒトにとって有益な物(食べられるもの)になったら 「発酵」になり、そうでない物(食べられないもの)になったら「腐敗」と考えて良いと思います。


別の言い方をするのなら、肉や魚等の蛋白質やアミノ酸を分解して硫化水素やアンモニア等の有害物質を産生するのが このページで取り上げている悪玉菌で、穀物や果物の糖を分解して乳酸などの体に有益な物質を産生するのが乳酸菌等の善玉菌と いって良いと思います。


ただ「くさや」「鮒ずし」「納豆」など発酵食品等は、例え発酵であってもそれが嫌いな人や、 またはそれらを見たことも聞いたことも無い人(例えば外国人)にとっては腐敗と見えるかも……(-_-;)知れませんネ。


いずれにしても食をはじめとした文化などは国や地域でかなりの違いがあって当然なのですから、 好き嫌いなどを含めた個人の主観や、見た目やニオイ等にとらわれず客観的に見ていく姿勢はどんな時でも必要だと思います。




食中毒

理屈の上では微生物が増殖して腐敗した食物を食べただけでは食中毒にはならないと言われています。
逆に、見た目ではまだ食べられると思われている食物でも食べたら食中毒の症状が出てきたと言う事例もあります。


つまり食中毒とは原因になる特定の微生物などが食物の中で増殖しかつ毒素を出したものを、 食べた人がその症状を引き起こした状態を言います。
いずれにしても食中毒には季節を問わず気をつけましょう。


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最近では以前の様な梅雨時などの暑い時期の食中毒だけでなく、O157等の寒い季節(O157に限ってみると冷凍庫の中でも生存可能です) での食中毒も目立ってきていますから、一年を通しての食事や調理時の手洗いには特に気をつけたいものです。