T細胞(thymus-derived)
骨髄で産生された未熟なリンパ球が胸腺で成熟したものをT(Thymus:胸腺)細胞(Tリンパ球)と呼び、
全リンパ球の約70%以上を占めるといわれています。
T細胞は、その機能から分類されていて、主な種類が五つあり各々、
ヘルパーT細胞
キラーT細胞
制御性T細胞
サプレッサーT細胞
エフェクターT細胞
と呼ばれています。
いずれのT細胞も「獲得免疫」または「適応免疫」や
「後天性免疫」などと呼ばれる強力な免疫系の中心的な存在として働きます。
獲得免疫とは、生まれてからの細菌やウイルスなどが感染してから、
その能力が発生して発達を始める体の防衛力や抵抗力の事で、生まれた時からほぼ100%完全な状態で持っていて力を発揮できる
マクロファージ等の貪食細胞を中心とした「自然免疫」とは異なり、
個人によってその発達や力にかなり差があるといわれています。
順番からいうと体に侵入して来た細菌やウイルス等の異物に対し、
まず自然免疫系のマクロファージ等の貪食細胞が活動をはじめ、
その自然免疫系では処理しきれなかった分を、
T細胞をはじめとした獲得免疫系が処理するという感じでしょうか。
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ヘルパーT細胞
キラーT細胞
獲得免疫
免疫
細菌
マクロファージ
自然免疫
細菌など異物が体内へ侵入してきた時で中心になるのは、
前述のT細胞の中でも「ヘルパーT細胞」と「キラーT細胞」の二種類です。
異物が侵入して来ると、まず最初に自然免疫系が発動します。
例えば自然免疫系のマクロファージ等の貪食細胞達は、
食作用によって異物を分解した後、その分解した異物の一部を切り取った「抗原」と呼ばれるものを、
自分の表面にある「自分」という名前の札が付いた掲示板の様な「MHCクラスU分子」に異物の名札になる抗原を載せて
他の免疫細胞達に見せます。
同時に、侵入してきた異物が病原性を持つ細菌などが自分の細胞を害する病原菌だった場合に、
すでに感染してしまった通常の細胞からも、その細胞が感染しながらちぎりとった異物の抗原を、
やはり「自分」という名前の札の付いた掲示板である「MHCクラスT分子」上に掲げます。
これらMHCクラスT及びU分子上で抗原を載せることを「抗原提示」と呼び、
ヘルパーT細胞は「自己」という自分の名前の札がある筈の掲示板の部分に「非自己」という
自分以外の名前の札が掛かっていることで、自分の中に自分ではないものの侵入を察知し、
この状況を他の免疫細胞達に知らせるために
免疫細胞間の話し言葉のような役割を持つ「インターロイキン」や「リンフォカイン」等の
化学伝達物質「サイトカイン」を産生します。
サイトカインを受けてB細胞等は抗体を産生するべく増殖を開始し、
自然免疫系でもマクロファージ等の貪食細胞が活性化しだします。
また、キラーT細胞がサイトカインの中でも「インターロイキンU」と呼ばれるタンパク質の影響で増殖を始め、
MHCクラスT分子上の抗原を目標に攻撃を始めるのですが、このことは即ち、
もとは自分の細胞だったものでも細菌などの異物に感染してしまえば「非自己」と見做して、
感染した自分の細胞を中に入っている細菌やウイルスごと殺してしまうのです。
キラーT細胞は「細胞障害性T細胞」とも呼ばれ、この様な感染した細胞の他にも、
ガン細胞等も「非自己」と判断して殺してしまいます。
一通り攻撃が終わるとほとんどのキラーT細胞は役目を終えて死んでしまうのですが、
一部は長く生き残り、再度同じ様な細菌などの侵入に備えて
「免疫の記憶」と呼ばれる待機状態に入り「メモリーキラーT細胞(記憶細胞)」になります。
この様な免疫の記憶は獲得免疫の特徴で、
次回に同じような細菌等からの侵入に備え一部を記憶細胞という
免疫の記憶として残しておくことで、
再度の侵入に対して素早く対応できるからだと考えられています。
獲得免疫系でこの様な待機状態に入る記憶細胞は、
メモリーキラーT細胞の他にも「メモリーB細胞」が知られています。
※ヘルパーT細胞は、サイトカインの分泌パターンの違いによりB細胞等に作用する「Th2」と、
マクロファージ等やキラーT細胞に作用する「Th1」に分けられると考えられています。
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細菌
ヘルパーT細胞
キラーT細胞
自然免疫
マクロファージ
MHCクラスU分子
免疫
MHCクラスT分子
B細胞
抗体
獲得免疫
細菌の研究で、今まで良く解らなかったヘルパーT細胞や
キラーT細胞以外のT細胞も、最近では少しずつ解るようになって来ました。
その中の「制御性T細胞(レギュラトリーT細胞)」と「サプレッサーT細胞」呼ばれる種類のT細胞は
「ヘルパーT細胞」によって出しっぱなしの状態になっているサイトカインの抑制に関わっていると考えられています。
簡単に言えば、外敵を見て興奮しているヘルパーT細胞のなだめ役というところでしょう。
また「エフェクターT細胞」と呼ばれる種類のものは、アレルギー反応の誘発に関係していると言われています。
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ヘルパーT細胞
キラーT細胞
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