真正細菌ユウバクテリウム(Eubacterium)属
グラム陽性菌
偏性嫌気性
稈菌
ヒトの腸内常在菌のひとつで、腸内細菌叢では比較的多数派の位置を占めている為に、優勢菌のひとつと考えられています。
ヒトの場合は特に乳幼児期にはあまり見られず、離乳食を摂るようになるころから増加し始めて、
成人になるまでにこの属菌としては最も多くなり、その状態が老年期まで継続して見られます。
ただし、乳幼児期に母乳を摂っている母乳栄養児に比べ、人工栄養を摂っている人工栄養児には
このユウバクテリウム属をはじめバクテロイデス属や
大腸菌、腸球菌、
嫌気性レンサ球菌など離乳食期以降から成人期にみられる菌が検出されてるという調査結果があり、同時に母乳栄養児では
優勢であるはずのビフィズス菌(ビフィドバクテリウム)
は比較的菌数が少ないとの結果も出ています。
この検査結果が、最終的にその本人の健康や体にどのような影響を与えるのか又は与えないのかは、
今のところキチンと判断できるだけの研究や調査の結果が出ていないようですが、
子供(乳幼児期)の時期から、悪玉菌や
日和見菌と見做されている菌が腸内で増殖傾向にあるというのは、
あまり良い影響はないのではと考えます。
実際に動物実験では腸内フローラの構成が乱れると、IgA(免疫グロブリンA)抗体
の産生が低下することが報告されていますし、腸内細菌による間接的な
腸管免疫細胞のIgA産生制御や、幼児期の乳酸菌やビフィズス菌の
腸内細菌叢への定着が、腸内細菌とIgA抗体の相互制御に影響することも報告があるのです。
いずれにしても、ユウバクテリウム属の病原性はどちらかと言えば高くないのに、
日和見菌としての特性により、生活習慣の乱れやストレスをため込むなどの宿主自身の変化で、
腸内フローラのバランスが崩れて悪玉菌が元気になると、
それに引きずられて宿主の味方から敵に回ることも十分に考えられます。
そして、そうなれば有害物質の産生など悪玉的な働きをする可能性が出てくるので、
日頃から生活習慣やストレスには気をつけたいものです。
※ユウバクテリウム属は健康なヒトの腸内環境下では基本的には善悪両面での大きな特徴は無いとされています。
つまり、良くも悪くもない菌……?人畜無害というと言い過ぎですが、
とにかく健康ならばあまり神経質にならなくても良いという事でしょう。
ただそのためには、腸内の善玉菌が活性化する様に納豆や漬物などの発酵食品、ヨーグルトなどの乳製品、
野菜や果物などの食物繊維やオリゴ糖などを食事から摂取して、
運動や睡眠を取りストレスを溜めないことが大切です。
また、動物性タンパク質や脂質の摂取を控え、暴飲暴食をしないなど、悪玉菌(有害菌)
の方の増殖を抑制することも同時にしていく事も重要ではないでしょうか。
そうすればユウバクテリウムなどの日和見菌たちも人畜無害でいてくれるかもしれません。
いずれにしてもこのユウバクテリウム属菌に関する結論は、これからの研究の結果次第と言う感じです。
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