ラクトバチルス(Lactobacillus)属、またはラクトバシラス属
グラム陽性
通性嫌気性
桿菌(狭義には「乳酸桿菌」と呼ばれる属)
ホモ乳酸発酵・ヘテロ乳酸発酵
植物性乳酸菌・動物性乳酸菌・腸管系乳酸菌
ヒトの体内を含め生息環境から簡単に入手出来るため、ヨーグルトなどの製造に古くから使われていた菌種です。
乳酸菌を代表する「属」であり、私たち「ヒト」だけでなく、他の動物達の消化管にも多く生息しています。
※ここに属する「ラクトバチルス・カゼイ・シロタ(Lactobacillus casei Shirota)株は、
「ヤクルト菌」「LCS」などとも呼ばれています。
その名の通り、皆さんもご存じの有名な乳酸飲料の菌株です。
ラクトバチルス属は、現在発見されている乳酸菌の中では、最も多い種数があり、
70種以上の存在が確認されています。
また、同じ乳酸菌の中でも、特に胃酸や胆汁などの消化酵素に耐性が見られる種類なので、
生きたまま腸管まで届く可能性があるので「高い生存性」が期待されている菌種でもあります。
また、この属菌は自ら作り出す乳酸などにより、腸管内をおおむね酸性に保つことで、
比較的「酸」に弱いとされる悪玉菌を、抑制する能力に優れています。
同時に腸管内の酸性化は、腸を健全な環境にして便秘や下痢などを解消する整腸効果をもたらします。
そしてそれらの結果として、美肌効果や体脂肪率低減効果などが、このラクトバチルス属菌にはあると考えられています。
※その他にも、女性の膣内に常在しながら乳酸などの酸を産生して膣内を低pH状態に保つことにより、
外部から侵入してきた雑菌を含む有害細菌などの増殖を抑制して、それらの細菌の感染による炎症などを防いでいる、
いわば「浄化作用」をしている「デーデルライン桿菌」と呼ばれている細菌群は、
主にラクトバチルス属の乳酸菌で構成されています。
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乳酸菌
乳酸
悪玉菌
細菌
ラクトバチルス・ブルガリクス(bulgaricus)菌(某ヨーグルトのコマーシャルでも一時有名になった
ブルガリアのヨーグルトの「ブルガリア菌」です)
整腸作用に優れ、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスを整える効果が確認されています。
同時に腸内の免疫細胞への働きかけも確認されています。
主にヨーグルト、乳酸飲料などに利用されます。
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腸内細菌
腸内の免疫機能(細胞)
ラクトバチルス・アシドフィルス(acidophilus)菌(常在菌)
特に、整腸効果が期待されています。
主にヨーグルト、乳酸飲料、チーズなどに利用されます。
ラクトバチルス・ガセリ(gasseri)菌またはガッセリー菌またはギャセリ菌(常在菌)
胃酸・胆汁に強いため生菌のまま腸に届きやすいプロバイオティクスと認められています。
また、腸管に達したのちは自らの外部環境である腸管内を乳酸などの産生して弱酸性に変えるために、
病原菌やウイルスが増殖するのを抑制する効果があることが認められています。
肥満傾向の被験者のガセリ菌の継続摂取の研究では、内臓内脂肪や皮下脂肪などの低減に効果が見られ、
コレステロール値の適正化にも影響を与えたため、肥満予防にも効果が期待されています。
そして、整腸作用の他、体内での抗酸化作用についても近年研究が進んでいて、
その効果にも期待がされているようです。
また、腸管だけでなく胃に対しても、胃粘膜に付着しやすいという性質から、胃潰瘍や胃ガンの原因ともいわれる
ヘリコバクターピロリ菌への抑制効果が期待され、ガセリ菌を用いた胃炎や、
消化性潰瘍の症状の改善効果も研究されています。
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(慢性)胃炎
ラクトバチルス・ヘルベティカス(helveticus)菌またはヘルベティクス菌
主にチーズ、発酵乳、ヨーグルト、乳酸飲料、乳酸菌製剤などに利用されます。
ラクトバチルス・プランタルム(plantarum )
またはプランタラム菌
主に発酵食品、飼料に利用されます。
ラクトバチルス・ロイテリ(reuteri)菌
大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、クロストロジウム、緑膿菌などの
有害菌への増殖抑制効果が在るといわれています。
もともとは、健康な人の母乳から検出、培養されたもので、人体と共生し易く天然の抗生物質を分泌する働きもあり、
体内でこのラクトバチルス・ロイテリ菌の働きを強くすれば、有害菌から体を守り、
強くすることが出来ると考えられ研究もされているようです。
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大腸菌
ラクトバチルス・ブレビス(brevis )またはラブレ菌(漬物菌)
ラクトバチルス・デルブリュック(delbrueckii)菌
ラクトバチルス・ブーフナー(buchneri)菌
ラクトバチルス・ファーメンタム(fermentum)菌 主に発酵食品に利用
ラクトバチルス・パラカゼイ(paracasei)