大腸ポリープ


大腸ポリープ

大腸ポリープ
Colonic polyp (polyp of the large intestine)



病気の概要・症状


日本人では、40歳代で4人に1人。それ以降では40%程度の割合でみられるという、大腸に発生する(基本的には)良性腫瘍で、 イボ状に隆起した様な形状で、腫瘍性と非腫瘍性に大別できます。


このうち腫瘍性のものは腫瘍性腺腫と呼ばれて、大腸ポリープ全体のかなりの部分を占めるといわれ 最初の(小さな)うちは大部分が良性なのですが、放っておいて大きくなるとポリープの一部にガンが発生することが多くなり、 また、腺腫自体もがん化する可能性が出てきます。


非腫瘍性の方は、非腫瘍性の過誤腫性ポリープ,炎症性ポリープ,化生性ポリープ(過形成性ポリープ)等がありますが、 いずれも良性でがん化することは殆んど無いと考えられています。


いずれにしても、小さいうちはただの「おでき」のような物でも、次第に大きくなるとその一部が、 ガンになる可能性があるものなのだと考えていた方が良いと思います。


主な症状としては、便通異常と血便なのですが、ポリープの出来た部位や大きさによって、 肉眼で便の中に血液(出血)が認められる場合と判別できない場合とがあるので、 健康診断などでの便潜血反応検査(便の中に微量でも血液が含まれているかを調べる検査)が重要になってきます。


また、痔の症状のある場合は、ポリープからのものか痔からのものか判断が付きにくい事も多いようですので、 一度は便潜血反応検査を受けて、もし陽性ならば内視鏡検査をしておくと安心できるでしょう。



原因


一番の原因は加齢ですがその他の要因としては、がんと同様で、親族等に病歴がある遺伝要因と、 生活習慣に原因がある環境要因に分けられます。
もちろん両者が密接に影響することも考えられますから、一概に決めてしまうのは現時点では難しいようです。


例えば、ある生活習慣(食事など)が原因だったとしても、家族の間では同居していれば同じものを食べるのですから、 それが果たして家族間の遺伝が原因なのか、その食物が原因だったのかは判断が判れるでしょうから、 どちらが大きく影響しているのかは判別し辛いのだという事です。



治療・予防


病院だと大腸ポリープは、がん化する可能性のあるものとして切除してしまうのが普通です。
小さな場合は内視鏡検査のついでにそのまま取ってもらったという話は、齢をとると周りでも良く聞くようになりました。
非腫瘍性のポリープもがん化はしないものの基本的には内視鏡検査の時に切除するのが良いようです。
後顧の憂い……と言う事でしょうか?


普段の生活での予防は、がんの一歩手前の病気と言う事で、 腸内の発がん物質の発生の増加を極力抑制するという事につきます。
多い脂肪と少ない繊維質の食事で、腸内の細菌のバランスを崩してしまえば、 発がん物質などの有害物質を産生する悪玉菌が増殖するのは自明の理です。


低脂肪で悪玉菌の増殖を抑制して、多い食物繊維で善玉菌を守り、排便をスムーズに(大腸ポリープにとって便秘は大敵!) する事が重要になるのですが、やはり働き盛りの方はどうしても外食が続きがちですから栄養の偏りや繊維質の不足の是正は 難しいでしょうし、また仕事のストレスによって便秘になってしまう人も少なくないでしょう。


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そうかと言って、40歳を過ぎて40%の中には出来れば入りたくないし……。
何といっても、放って置けばがん化するみたいだし……。
結局、現代社会で生きていかなければならない私たちにとって結論の出ない問いなのかも知れません。



そこで、次善の策と言う事ですが、腸内フローラのバランスを崩さずに便秘も解消すれば最低ラインには達するわけなので、 善玉菌を増やし(善玉菌が増えれば、その分だけ悪玉菌などが減るのです)腸内を酸性にして便通をスムーズにする、 「プロバイオティクス」や「プレバイオティクス」が有効な手段の一つに挙げられます。


腸内フローラとは「腸内細菌」等のページでも書きましたが、 私たちの健康を腸内から支えてくれている1,000種類100兆個にも及ぶ大規模な細菌群(細菌叢)のことで、 ビフィズス菌に代表される体に良い善玉菌や大腸菌に代表される悪玉菌等があります。


これらの細菌の種類や数のバランスを、私たちヒトの健康を良好に保ち上手く調節するために、善玉菌の代表ともいえる 「乳酸菌」等を主に取り入れた乳酸飲料や発酵食品またはサプリメントを摂取してその有用菌を腸内まで(生きたまま)送り届ける事を 「プロバイオティクス」と言います。


そして、それら有用な腸内細菌が効率よく増殖、活動するための物質(餌/苗床)の食物繊維やオリゴ糖等を継続して摂取する事を 「プレバイオティクス」と言い、両者は車の両輪の様に私たちの健康を考える重要な基本の一つになっているのです。


もちろん、低脂肪食や繊維質の多い食事を自分で作れる人はそのままで問題は無いと思います。
ただ、それを用意するのは忙しすぎて無理な人にはこれらのサプリメントはお勧めです。食事の合間にも手軽に摂れるし、 出張・旅行などにも便利ですから、飲み忘れもあまりないでしょう。


繰り返しますが、あくまで次善の策です。
プロバイオティクスやプレバイオティクスのサプリメントを飲んでいるからといって、 高脂肪で繊維質の少ない食事でも健康を維持できるなどと言っているのではありません。


本来なら、低脂肪で繊維質の多い食事を摂って、十分な睡眠時間の規則正しい生活を送りながら、ついでにサプリメントを……。 という生活がベストなのだと考えます。
もっともそれが出来ないのが大本の原因、現代社会で生きる私たちのストレスもそこからきているのかも知れません。