葉酸(Folic acid)
最初ホウレン草の葉の部分から、ある種の乳酸菌の増殖因子として発見されたので
この名前が付いたといわれています。
水溶性のビタミンB群の仲間で科学名を「プテロイルグルタミン酸」と呼びますが、
かつては「ビタミンM」とか「ビタミンB9」とも呼ばれていました。
パラアミノ安息香酸にブリテン環とグルタミン酸が結合している構造ですが、
天然に存在している葉酸は1〜数個のグルタミン酸が結合(結合様式はγ結合)しているものが多くみられます。
※上の図は厚生労働省の日本人の食事摂取基準2015年策定検討会報告書に設定してあるプロテイルモノグルタミン酸量として
示してみました。
ビタミンB12と共に赤血球を作る働きを持ち、核酸(DNA)の合成や細胞分裂の促進、
免疫抗体の産生などに係わっているといわれ、
不足すると、貧血、神経障害、動脈硬化、心筋梗塞や脳卒中などの発症リスクが高まるといわれています。
とくに、妊娠(初期)時に必要量が増加するといわれ、胎児の神経管閉鎖障害などの脳や脊髄の障害を予防するためにも
妊娠可能年齢の女性には積極的に摂ることが勧められている栄養素のひとつに挙げられます。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書にも母体に葉酸欠乏症があると、
胎児の神経管閉鎖障害や無脳症を引き起こすとされています。
その一方で葉酸摂取によってのみ予防は出来ないものの、リスク低減には有効であるという事も併せて報告されていました。
葉酸が比較的多く含まれている食品は、ホウレン草をはじめとした緑黄色野菜などが多いのですが、焼きのり、イチゴ、レバー、
きな粉にも比較的多く含まれているので平均的な日本人としての食生活を送っていれば欠乏症の心配はほとんどないようです。
あくまで一般論としての平均的な食生活という意味合いですが、他の栄養素同様にビタミンも結構気にして摂っている人と
ほとんど気にせず食事をしている人との差が大きいように感じます。
特に上述の胎児への影響から妊娠中の女性は各種調査から普段の二倍の量が必要と言われ、
若い女性がダイエットなどで栄養不足状態のまま初期の妊娠に気づかず、胎児への影響が出てしまう事も考えられます。
そのため、妊娠の可能性のある女性は普段からのカロリー制限はともかく(必要以上に制限している人も多いようですが……)
栄養のバランスには気をつけることが大切でしょう。
また、妊娠中の方以外でも高齢の方でも葉酸の摂取は心身ともに良い方向になるという最近の調査結果も出てきているようです。
含まれているのが、緑黄色野菜中心ですから多少余計に摂る方が良いという事なのでしょう。
※埼玉県の坂戸市でも「坂戸市葉酸プロジェクト」というのをやっています。2018年3月現在も続いていました
ご興味のある方は坂戸市のHPをのぞいてみましょう。「坂戸市葉酸プロジェクト(検索)」でOKです。(面白いですョ!)
また、通常の食事をしている限りでは欠乏症同様に、取り過ぎによる過剰症などの心配も必要ないともいわれてはいますが、
もし過剰摂取した場合は発熱、じんましんなどが起こることもありますので、
サプリメントなどを使用する場合は上限量を必ず守る事を心がけて下さい。
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