ウェルシュ菌


ウェルシュ菌

「ウェルシュ菌」(Clostridium perfringens)クロストリジウム属ペルフリンゲンスまたはパーフリンゲンスあるいはパーフリンジェンス
以前クロストリジウム・ウェルシュ(Clostridium welchii)と呼ばれていたため現在でもウェルシュ菌と呼ばれています。


グラム陽性
稈菌
偏性嫌気性


通常の自然環境中に多く、ヒトをはじめとする動物の腸内にも生息しています。
10種類以上の毒素を産生するが、作る毒素の違いで5つに分類されています。
外部環境が自らにとって悪くなると「芽胞」を形成し生き延びることが出来ます。


俗に「給食病」の原因菌です。
特に、臭いおならの原因と言われていて「いつもより臭いな……」と思えたらウェルシュ菌の増加を疑ってみても良いのかも知れません。


土壌、水中、動物の腸管に普通にいる菌なのです。
ヒトの腸管にもいて当たり前の常在菌なので健康な人の便からも検出されていますが、 保菌率や検出量は個人の生活環境や食生活によって様々でまた年齢によっても異なってくると言われています。


この菌は耐熱性の「芽胞」を作るため食物を加熱調理して他の細菌が死滅してもウェルシュ菌の芽胞は生き延びて酸素の無い場所 (食物の中や腸内)で増殖し再び菌が芽胞に変わるときにエンテロトキシンという毒素を産生し食中毒を起こすといいます。


この為、食材(肉、魚介、野菜とほとんどの物)を大量に加熱調理するホテル、仕出し屋、学校(給食センター)などの、 食べる前日に調理して大きな器のまま室温で置かれた料理に多く発生します(特に煮物に多いようです)。


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予防としては加熱したからと言って安心せず出来るだけ早く食べる、また前日調理は避けたほうがいいでしょう。
やむを得ず調理後に保管しなければならない場合は小分けにしてから出来るだけ早く冷却(出来れば冷凍)してしまいましょう。


※つまり「加熱すれば安心」という事が出来ない一番の原因菌です。


ウェルシュ菌による食中毒の症状としては潜伏期間が6〜18時間(多くは12時間以内)程で 腹部の張るような感覚から始まり下痢・腹痛が起きますがそれ以上の重症化はまれで、 ほとんどの場合1〜2日で治ってしまいますので健康な人なら特別な治療を行わなくても(病院に行かなくても)良いようですが、 初期症状がよく似た別の食中毒菌もありますので少しでもおかしいと感じたり、体力に自信が持てなければ受診した方が良いと思います (何より安心です)。


食中毒以外では傷口から感染して「ガス壊疸」を起こす菌でもあります。