エンテロコッカス(Enterococcus)属、またはエンテロコックス属
グラム陽性
球菌 連鎖状 通性嫌気性
ホモ乳酸発酵
ヒトをはじめとした哺乳類の腸管内の常在菌のうち球菌のものを言いい、
エンテロコッカス属の乳酸球菌が主に該当します。
おもに回腸、盲腸、大腸に生息する
Enterococcus faecalis
Enterococcus faecium
Enterococcus avium
Enterococcus casseliflavus
Enterococcus gallinarum
Enterococcus flavescens
などがあるが、免疫向上機能が高いため、
特に上の二つは整腸剤やサプリメントなどにも利用されています。
基本的に弱いながらも病原性(敗血症など)を持っています。もっとも宿主が健康であれば問題になるほどでも無いのですが、
病気などで抵抗力が低下している時は、俗にいう「日和見感染」を起こすことも考えられますから
注意が必要な場合もあります。
その上、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)
やエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)
の種に関しては抗生物質に耐性を持ったものが出現しているともいわれています。
この為、抵抗力が低下している時にこれらの菌種に感染して病院などでバンコマイシン等の
抗生物質を使用しようとしても効果が現れない事例もあるようです。
このような「バンコマイシン耐性菌」(Vancomycin-resistant Enterococcus)VREが出現した背景には、
畜産業での長年の家畜飼料への抗生物質の大量添加が係わっていると考えられています。
つまり、家畜が抗生物質の入った飼料を摂取することで、
家畜の体内に生息していた菌が次第に抗生物質に対して耐性を持つようになってゆき、
それが食肉などの畜産物を経由して人に回ってきたのだという事でしょう。
ただ、この様に弱病原性を持ち、その上抗生物質等の薬にも耐性を持つほどのエンテロコッカス・フェカリスですが、
これを乳酸菌EC-12の様に「死菌」にして病原性を取り除き、
その抗原性等の必要な部分だけをヒトの免疫活性等に利用する方法が
近年盛んに研究されるようになりました。
加熱殺菌(死菌にした)して抗原性のみを利用できるようになったエンテロコッカス・フェカリス
を口径摂取することで小腸の免疫細胞群が刺激され、
各種の抗体等の能力の上昇が期待されるというのです。
無毒化した抗原を使って抗体等を活性化すると言うのは、無毒化したウイルスなどの抗原を使って
ヒトの免疫機能を刺激して、
そのウイルスに対しての抵抗力を強化するのに似ていますネ。
つまり、弱い病原性を元々持っているエンテロコッカス・フェカリスなどから細菌としての目印である
抗原だけにして、免疫細胞達にあたかもここに病原菌がいるかのように見立てて実際に本物の病原菌が
入ってきたときのための練習台に使い、免疫細胞を鍛えて置こうという事なのです。
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